台湾旅行①

3月14日

 3時半起床。昨夜は9時半に寝たけど興奮してあんまりちゃんと寝れなかった。旅行の前はいつもこうだ。ちゃちゃっと身支度をして、息子を起こす。4時半、戸締まりを確認して出発。車に乗って空港に向かう。今日から4日間、台湾に旅行に行く。車の中で息子は寝るかと思ったが、ずっと起きていた。私はなにか忘れてないかずっと不安。海外旅行はなんとなく相性が悪い。始めての海外旅行の北欧では財布をすられたし、2回目のヨーロッパの新婚旅行では空港でトラブって飛行機に乗れず(3時間後の便に変更できたけど)、3回目になるはずだった去年のハワイ旅行は直前に火山が噴火して結局行けなかった。今回もなにか起こるんじゃないかと不安。

5時半に空港に到着。即チェックイン。パスポートに問題はなかったようで一安心。荷物を預け、すぐに保安検査場で行く。これも特に問題なし。無事出国できるようでよかった。保安区域内にある六厘舎でつけ麺を食べる。さすがに朝6時半につけ麺を食べるのは人生で初めてだな。空港についたときは離陸まで2時間もあるなんて暇だと思ってたけど、食べ終わったらもう搭乗時間。真っ暗だった外はいつの間にか明るくなって、ピカピカの機体がオレンジの朝日に照らされている。デジカメを出して1枚目の写真を撮る。

 

離陸まで落ち着かなそうにしていた息子は、離陸した瞬間、本当に機体が陸から離れて上昇する30秒くらいですーっと寝てしまった。夫も寝ているし、私も寝ることにする。30分くらいして機内食が運ばれてきたので起きる。オムレツかヌードルかきかれて、中国だし麺かなと思ってとっさにヌードルと答えるが、さっき麺食ったばっかじゃんと思う。もう遅い。運ばれてきたのは海老あんかけ焼きそばだった。しょっぱくてほとんど残してしまう。息子の子供用機内食はラザニア。そっちのほうがおいしそうだった。起きた息子はベルトを嫌がり、何回も立ち上がろうとしたが100均で買っておいたシールブックや機内でもらったビニールの飛行機でごまかしごまかし、4時間のフライトはとりあえず何事もなく終了。11時半、台湾松山空港着。台湾は日本より1時間遅いので、時計を10時半に合わせる。

入国手続きを終えて荷物を受け取り、タクシー乗り場へ。空港スタッフ?らしき人がにこやかに誘導してくれる。運ちゃんに「シャングリ・ラホテル」と言うが通じない。こっちだと結構有名なホテルなんだけど、発音が悪いのか。バウチャーを見せると小さく「オケ」と言って走り出す。

 

初めてみる台湾の街路。タクシーと原チャがめちゃくちゃ多い。タクシーは全部黄色。道路には原チャが信号待ちするゾーンがある。運転はみんな概して荒い。タクシーやバスには聖闘士星矢のゲームの広告がバンバンうたれていた。流行ってるらしい。車用信号は、赤の残り時間が数字で表示されている。逆に歩行者用信号は青の残り時間が数字で表示される。青信号の表示は人がてくてく歩いていて、残り時間が少なくなると走り出す。かわいい。ピカピカの大都市にあるようなビルと、古びて黒ずんだ、耐震性はほとんどなさそうなビルが混在している。

松山空港台北市の中心北側にあり、南側にあるホテルまでは4キロ、タクシーで10分。175元だったから、日本円に換算すると600円ちょい。ちなみにタクシーの初乗りは70元、日本円で250円くらい。物価はそこまで安いと感じなかったけど、タクシーと電車賃はすごく安かった。電車もちょいちょい乗ったけど、タクシーの方が多く使った気がする。

ホテルに入るとスーツを来たお姉さんが”How are you?”とにこやかに話しかけてくる。「アイム・ファインサンキューアンデュー?」という返答がとっさに頭に浮かぶが、ちょっと馬鹿みたいじゃないかと思って何も言えずもじもじしてしまう。お姉さんが察して、”Good?”ときいてくれて、「うん、グッドグッド」と返事する。息子にミニオンズの棒付きキャンディーをくれた。

チェックインは夫に任せる。私はあまり英語がききとれないが、メガネのハキハキしたチャイニーズのお姉さんの説明を一応一緒にきく。今回のホテルは、シャングリ・ラ ファーイースタンプラザホテル。楽トラでパッケージだったのを適当に選んだ。部屋のランクも特に選択しなかったと思うのだけど、チェックインしたらちょっといいランクの部屋だった。飛行機でいうビジネスクラスみたいな感じ。専用のラウンジがあり、朝食、アフタヌーンティー、夕方のハッピーアワーはお酒とおつまみが無料で飲めるから「ぜひ行ってみてね」とのこと。(にこっと笑ってそんなニュアンスだった)近隣にある観光名所やシャトルバスの説明など。

まだ12時前なので荷物を預けるだけの予定だったけど、もう部屋に入れるとのこと。融通がきいてありがたい。35階の部屋へ。ちょっとびっくりするくらい広い。景色もばつぐんで台北101も見える。追加料金をとられたりしないか少し心配になる。ボーイさんからスナックや飲み物の説明。「これはフリー、これはチャージ」ひとつひとつ説明してくれる。「謝謝」とお礼をする。テーブルにウェルカムフルーツが置いてある。りんごとみかんと見慣れない緑の果物。グァバらしい。目を離すと息子はりんごをそのままかじっていた。夫、「昔はこういういい部屋やと追加料金とられるんちゃうか、って心配になったけど今はもうならへんな」と言う。

 

荷物を軽く整理して、昼ごはんを食べに街へ出る。気温は20度くらい。ちょっと暑いのでインナーを夏物に着替えていく。すこし湿度が高くて、沖縄っぽい雰囲気もある。南国の鳥の鳴き声がする。メインの通りでないところは基本的に歩道はなくて、路駐も多く、すれすれを結構なスピードで原チャや車が通る。みんな器用に止まったりすり抜けたりしながら歩いている。看板は漢字と英語が多いけど、時々日本語のものもある。なんでもない風景をカメラで撮る。

ガイドブックに載っていたホテルから一番近い店、明月湯包(ミンユエタンパオ)で昼食。ベタだけど、まずは小籠包を食べようと思って。蟹味噌小籠包(日本人に人気と書いてある)、棒餃子も頼む。それぞれ8個ずつ。オーダーは紙にチェックをつけて渡す方式。台湾の普段遣いのお店はこの形式が多いみたいだった。しばらくして、でっかい蒸籠がテーブルに並べられる。小皿に醤油とお酢?っぽい調味料を混ぜて、つけて食べる。食べ始めるとホールのおばちゃんがつかつかと近寄ってきて、無表情無言のまま蒸籠や小皿をちゃかちゃかと並べ直し、去っていった。食べやすいように並べ直してくれたっぽい。愛想はないが優しい。

食べていると入り口から日本人っぽい一行が入ってきた。慣れた様子で3人、と伝えて、隣のテーブルに座る。なんとはなしに見ていると、実家のお隣さんのNさん一家ということに気付いた。母からお隣さん一家も一日違いで台湾に行くときいてたけど、まさか初日に会えるとは。席を立ってNさん(お母さん)の肩をたたくとNさんは一瞬ぽかんとした顔で私を見て、「わっ、えっ、ほんとに!?」とびっくりされる。そりゃそうだ。娘さん2人もびっくりしている。写真を撮り、どこに行ったか、これからどこへ行くかなど一通り話し、Nさん一家は別の広い席が空いたとのことで移動していった。は~びっくりした。こんなことあるんだな。

 

次の目的地は誠品書店。店を出てタクシーを拾う。ちょっとボロいタクシーで不安になる。ガイドブックを見せてここに行きたいと地図を見せるが字が小さすぎて判別できない様子。スマホで検索して見せる。5分ほどで到着。でっかいビルの前でおろされる。台湾のおしゃれ書店といえば誠品、ということで来てみたが、実際は書店は1フロアで、誠品自体は大きなデパートみたいな感じ。1フロアずつ、「誠品美食」(これは食品フロア)みたいに「誠品○○」と名前がついている。3階が「誠品書店」。

本はもちろん中国語なので読んでもわからないんだけど、品揃えやディスプレイが素晴らしいということはわかる。夫はいつも本屋に行っても理工書が全然ないと嘆いているけど、ここは理工書も充実していた。息子が絵本コーナーに行きたいというので行く。まだ字が読めないから言葉が違っても関係ないんだな。絵本を眺めているとジャージを着たおばちゃんが来て、私と息子に中国語で話しかけてきた。何を言っているかわからなくてしどろもどろしていると、「ジャパニーズ?」と訊かれる。「イエス」というと「ハジメマシテ~」「コニチワ~」と言う。「ナンサイ?」と訊いて、息子が「2さい」と答えると、「オー!ユーアージーニアス!プリティ!ジーニアス!」と何度も褒めてくれる。息子に「謝謝って言うんだよ」と促し、息子がそう言うと、もっと喜んでくれる。

 

他のフロアも一通り見て、次の目的地へ移動。今度はメトロに乗る。市政府という駅で、日本のSUICAみたいなEASY CARDというのを買う。これを使うと運賃が2割引になる。最初に100元チャージすることになっていて、滞在中に使い切らずに持って帰ってしまったので多分損してるけど。

忠孝敦化駅で降りて、台湾のファッションストリート、東區(ドンチュー)へ。東京でいう裏原、日本で言う堀江っぽい雰囲気。夫の目当てはホテルV。addidas 、メゾンキツネみたいなやや高めのブランドの入ったセレクトショップ。建物も蔦が這ったビンテージ風でおしゃれ。

私はガイドブックに載っていた「CHILL」という服屋に行く。ベーシックカジュアルで、値段も1着3000円くらい。スタッフの女の子たちがみんなかわいく、手にとった服を「Try on!」と言って試着をすすめてくれるのでついつい着てしまう。そしてホイホイ買ってしまう。ネイビーのチェックのシャツと、カーキのスカート。チェックのシャツを指して「ホニャララホニャララ  Check please.」と言われるがわからず、チェック?とぽかんとしていると、女の子たちが服をよく見て調べているようなジェスチャーをする。あ、現品限りだからよく見てねってことか、と「あ、チェックね、わかった、オケオケ」と言って確認する。通じたようで女の子たちも笑っている。

 

買い物を終えると息子はベビーカーで寝ていたので、しばらくそのへんを散策する。スタイリッシュなカフェやセレクトショップがあり、臭豆腐の屋台が強烈な匂いを放っている。タピオカミルクの店におしゃれな若者が並び、定食屋の店先でおばちゃんが何かの具を薄っぺらい皮に包んでいる。色々なテイストの店が混在している。

夫が座って休みたいと言うので、場末っぽい雰囲気のある喫茶店に入る。店の半分は屋内、半分はテラスみたいな屋外。店の前に臭豆腐の屋台があって、外の席だと風向きによっては便所みたいな匂いがするので、屋内の席にする?と夫にきくが、「こういうくさい匂いの中でお茶をするのがいい」と言うのでそうする。実は私もそう思っていたのでうれしい。夫はレモンソーダ、私は白桃烏龍茶っぽいものを頼む。ジョッキで出てくる。この喫茶店がどれくらい場末感があるかというと、メニューの一番下に「店内でギャンブルをするな」と書いてあるくらい。夕飯まで3人で今日撮った写真をみたり、通りを眺めたり、臭豆腐くさいねと言い合ったり、ぼーっと過ごす。こういうなんでもない時間がいいな、旅は。

 

今日の晩は夕飯を予約しているので店に向かう。圍爐(ウェイルー)という白菜鍋のお店。吉本ばななさんがエッセイで書いていた。店内はきちんとしたレストランっぽい雰囲気で、クロスのかかった丸テーブルが並んでいる。席につくと、すぐに鍋がテーブルの真ん中に置かれた。しゃぶしゃぶ鍋の、真ん中が高くなっている形の巨大な鍋。白菜鍋は、ただの白菜ではなくて白菜のお漬物が煮込まれていて、他にも海老とか蟹が出汁用に入っている。凍み豆腐も入っている。別のテーブルに、ごまペースト、醤油、酢、いろんな種類の油、刻みネギ、刻みパクチーなど15種類くらい調味料が並んでいて、それを自分で好きにブレンドしてタレをつくリ、それにつけて食べる。とりあえずごまをメインに10種類くらい適当に混ぜて作った。お鍋は酸味がきいていて複雑な味がしてめっちゃおいしい。タレも適当に作ったにしてはかなりおいしい。ごまを多めにいれるのがコツとみた。夫とタレを交換すると、夫のはほぼ醤油味であんまりおいしくない。「なに混ぜたの?」ときいたら「よくわからんかったから醤油となんかもう1種類くらい」と言う。そりゃおいしくないわ。逆に私のタレを食べて「うわっなにこれうまい、俺のも作ってきて」というのでもうひとつ作る。追加で牛肉とラム肉、豆苗を頼む。どれもおいしい・・・。なんだか朝から活動して疲れてきたのでお酒は飲まず、ささっと1時間くらいで食べ終わり、タクシーを拾ってホテルに戻る。

 

実は夕飯のお店に入る前から若干頭痛がしていたが、タクシーに乗っている間になんだか吐き気もしてきた。やめてくれまだ初日だよ・・・こういうのは口に出すとますます具合が悪くなるので黙っていようかと思ったけど夫に「気持ち悪い、頭も痛い」と言う。心配して、「しんどかったら明日のツアーはキャンセルしてホテルで寝てたらいい」と言ってくれる。優しい。私は昔沖縄で風邪を引いた夫をダイビングにつれていったのに・・・。部屋についてすぐにトイレにかけこむ。少し吐く。さっきのおいしかったタレが出てきた。念の為持ってきた頭痛薬を飲んで寝る。1時間くらいして起きると、気分はかなりマシになっていた。風邪ではなくただの疲れだったみたい。よかった。お風呂に入ることにする。湯船の横にでっかい窓があり、台北101と夜景が見えるが、コンタクトを外しているのでぼやぼやとしか見えない。明日はコンタクトしたまま入ろうと思う。ツイッターをチェックして10時半に就寝。